Dの複合 松本清張

Dの複合 (新潮文庫)

Dの複合 (新潮文庫)

 通勤途中は暇であるので、CDを聞くか本を読むかしているわけである。本を読むのは体力のある前半の週で、木金なんかはへとへとで本なんて読む気にはならないのだが…。
 そんな私は本をタイトル買いすることがよくある。○○賞受賞!なんて言葉にもとても弱いのだが、そんな本はしょっちゅうあるわけではないから、内容も気にせず気分で買ってしまうことがある。この本もそうなのだ。そして、あまりオススメはしない。☆☆★★★だな。
 「Dの複合」このタイトルが気に入って買ってみたんだが、「Dの複合」これを読んでどう思うだろうか?この本は平積みされていたため、まず最近の本であると思いこんだのが、失敗だ。今時、Dといえば、デジタル(digital)であったり、ディメジョン(dimension)だったりするわけだ。
 これは新しい作風のサスペンスに違いないと勘違いしたわけである。
 しかし、いざ読もうとして、表紙をめくったところ(カバーがしてある)、作者は松本清張。清張といえば、私にとっては既に古典と言っていい世界だ。赤川次郎内田康夫の本ですらあまり読まない私だから、「Dの複合」。なんて斬新な紛らわしい名前をつけるのだと思ったわけであります。
 そして、内容ですがDは伝説(DENSETSU)のDではないのですが、(なんのDか気になる人は買って読んでみてください)浦島伝説や羽衣伝説のルーツを探りながら執筆活動をする作家が事件に巻き込まれ、事件の真相に迫っていくって話なんですが、そのはっきり言ってしまえば、火サスを読んでいるようでした。いや、懐かしい感いっぱいです。携帯電話もない、そんな時代はついこないだの話ですが、それにしても時代が流れるのはなんて速いのだろう・・・。